井戸端会議を辞書で調べると、共同井戸のあたりで、水汲みや洗濯などをしながら、女たちが人のうわさや世間話をすることと説明されている。
老人ホーム「ポムポム川の辺」には、共同の洗濯室があって、そこで女性たちがおしゃべりをしている。まさに井戸端会議である。
共同の洗濯室には、洗濯機が5台、乾燥機も5台置いてある。このほかに個室の浴室が4部屋ある。当然男性も利用するために部屋に来るのだが、聞こえてくる声は圧倒的に女性の声だ。
何をしゃべっているのかは、もちろんわからない。かみさんも井戸端会議に加わるので、きいてみた。やっぱり、人のうわさ話が多いらしい。それも、老人ホームの入居者のハナシが多いらしい。XXさんとXXXさんは仲が悪いとか・・・・
なかには耳の遠い人がいる。補聴器を付けていても、よくは聞こえないらしい。そういう人は、人一倍、しゃべりまくるというから、面白い。
老人ホームの、同じフロアには、ラウンジがある。とてもきれいで、大きな絵が飾ってあり、立派なソファが置いてある。お茶を沸かせるようにもなっている。新刊の雑誌も置いてある。ところが、ほとんど使われていない。人がそこで談笑しているのを、あまり見たことがない。不思議なものだ。
洗濯場のほかに、廊下で立ち話する人も多い。このホームの廊下は随分長い。一度はかってみたら、70歩以上あった。
その廊下を行ったり来たりしている人がいる。結構いい運動になるからだ。手をあげて、伸びをしながら歩いている人もいる。時々立ち止まって屈伸しているひともいる。健康に気を使っているのだ。
廊下の途中で人に出会うと、そこで立ち話が始まる。
夏になると、外で散歩するのは、つらい。私も、真夏には、外の散歩をやめて、廊下の散歩にしようかと思う。でも、立ち話する相手はいないけれど。