先日、私立名門高校の2年生が、大学共通テストの会場付近で、受験生に切りつけるという事件が起きた。勉強の良くできた子なのに、最近成績が下がり、希望する医学部に入れそうもないと思ったらしい。それで「医師になれないのなら、人を殺し、罪悪感を持って切腹するつもりだった」と報じられている。
なんとも自分勝手で理解しがたいけれど、やりきれない痛ましい事件だ。
勉強の重みに苦しむ若者を書いた小説に、ヘルマン・ヘッセの「車輪の下」がある。1906年刊というから、今から100年以上も前の小説だ。教育のあり方への批判になった。
つまり、受験や勉強の重みに押しつぶされる子供の問題は、100年以上も変わらない問題である。どうして変わらないのだろう。世の中の他のことは随分変わってきたのに。
たとえば、昔は、出来るだけ早く移動をしたいと思っていたが、今は二酸化炭素をたくさん出す飛行機よりも、遅い乗り物を利用しようという動きが活発だ。便利な使い捨てのプラスチック製品も、環境保全のためにやめようとしている。
アメリカに次々と生まれる億万長者たちを見ていると、成功の秘訣は、学歴なんかよりもアイディアとか実行力だ。
それなのに、なぜ日本の若者は、特定の大学・学科を目指すのだろう。私は責任に一部はメディアにあると思う。特定の大学や学科をもてはやしているように思う。そんなことはやめた方がいい。