「生活習慣などを改善すれば、認知症の発症リスクを下げることができる」という論文が、有名な医学雑誌ランセットに掲載されて、話題になっている。イギリスの研究者による論文である。
 その論文によれば、生活習慣などの改善により、認知症発症リスクを40%下げられるという。厚生労働省の資料によれば、わが国では、2025年には、認知症の人が約700万人になる予測で、もし40%が発症を抑えられれば、280万人が認知症にならずにすむことになる。
 この論文によると、認知症発症リスク因子は12ある。難聴、社会的孤立、抑うつ、喫煙、大気汚染、高血圧、糖尿病、肥満、運動不足、頭部外傷、過剰飲酒、教育歴(知的好奇心の低さ)である。
 この12のリスク因子は、「三つの習慣」に気を配ることで、排除が可能になる。それは、運動、知的好奇心、コミュニケーションだそうだ。
 そういえば、昔、つまりランセットの論文の出るずっと前に、認知症にならないための「3かく」というのを、聞いたことがある。「文をかく、汗をかく、恥をかく」の3かくである。「文をかく」は手紙でもブログでも何でもいいから、文章を書きなさいというのだ。「汗をかく」は運動。「恥をかく」は、人と付き合いなさい、苦手な社会的活動でもどんどん参加しなさいということ。
 「3かく」はランセットの論文の勧める認知症リスク排除と、よく似ている。昔からの言い伝えも捨てたものではない。
 ランセットの論文が、特に強調にしているのは、認知症と難聴との関連である。これについて、次回で紹介しよう。

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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