あるラジオの番組で、「情けないこと」を募集した。そうしたら、「蕎麦(そば)をすすれない」という投書が来たという。
落語を聞いていると、蕎麦をすする場面がよく出てくる。ズーズーズーと、音を立てて蕎麦をすする。いつもこれを聞くと、蕎麦を食べたくなる。
蕎麦はこうして食べるものだと思っていた。ちょっと汁をつけてすする。ぐちゃぐちゃ噛んではいけない。そばをすすれないと情けないという気持ちはわかる。
ところが、そのラジオ番組で、出演していた女性タレントが、蕎麦をすすると汁が飛び散って洋服が汚れるからやらないと話していた。その人は、少しずつ、ちりれんげのような大きなスプーンにいれて、口に運ぶのだそうだ。
まあ、蕎麦の食べ方はその人の勝手だけれど、通の人が聞いたら嘆くだろうなあ。
かみさんは、時々ざるそばのセットをスーパーで買ってくる。いくつも仕切りのあるプラスチックの容器に、蕎麦、袋に入ったつゆ、小さな袋に入ったきざんだ海苔ときざんだねぎ、そしてわさびがきちんと入っている。結構美味しい。
至れり尽くせりなのだ。便利な世の中になったと感心している。