2月はもうすぐ終わり、桃の節句が近い。菜の花の季節でもある。千葉県の菜の花の産地では、今年は天候不順のせいで、生育がよくないそうだ。
菜の花はアブラナの花である。眺めるだけでなく食用にもなる。つぼみと花茎を食べる。カロテン、ビタミンC、カルシウム、カリウム、鉄などをたっぷり含んでいるそうだ。やわらかく、くせもない。さっとゆでて、おひたしにして食べる。
菜の花といえば、与謝蕪村の「菜の花や 月は東に 日は西に」という有名な句を思い出す。見渡す限り一面に菜の花が咲いていて、白い夕日が東の空に昇り、太陽は西の空に沈もうとしている景色が目に浮かぶ。
与謝蕪村はこんな光景を目にして、この句をつくったのかと思っていた。つまり単純な写生の句だと思っていたのだが違った。
この句には、もとになっている詩があるのだという。中国の陶淵明の詩「白日は西河にしずみ、素月は東峯に出ず」に基づいているのだそうだ。さらに万葉集の和歌「東の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ」の影響もあるということである。
やっぱり立派な文学作品を残す人は教養が高いのだ。高い教養がもとになって、すぐれた作品ができるのだ改めて感心した。
天の声「気がつくのが遅いな」