老人ホーム『ポムポム川の辺」に入居するときに、息子たちに家具を買ってもらった。ベッド、ソファ、テーブル、いす、サイドテーブル、食器棚、靴箱などなど・・・
 どれも白か茶色で、すっきりしていて悪くない、と私は思うのだが、かみさんはそうでもないらしい。あまり気に入っていない。
 その理由は、買い物に自分が立ち会ったり、意見を言うチャンスがなかったことだと思う。今までは買い物はほとんど全部かみさんが取り仕切っていたから、無理もないが、今回は家とホームは遠く離れていて、仕方なかったと思う。
 というわけで、趣味が合わないなどと難癖をつけているようだ。例えばソファの色が気に入らない(汚れが目立たなくていいと思うけれど)。いすが高すぎる(私たちの足が短すぎるのだろう)。
 食器棚も気に入らない。ガラスとびらで、中がよく見えるようなのがよかったという。
 それでも、持ってきた食器を並べ始めた。ピカピカのワイングラスやタンブラー、何焼きだか知らないが、お客用の茶碗などなど・・・
 「ここは老人ホームだ。お客さんなど来ないよ」
 「お客さまのためじゃないの。私たちが見て楽しむため。老人ホームだって潤いがなくちゃ」
 私とは意見が合わない。いつものことだが。
 老人ホームの家具は実用第一か、それとも装飾品として重要なのか。
 まあ、いろいろ文句を言うのは、かみさんの脳の活性化になって、いいことかもしれない。

 

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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