老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅)の私の部屋の真向いにはおじいさんが住んでいる。私と同じぐらいの年齢だ。先日、私が自分の部屋の戸口に立っていたら、おじいさんの部屋から若い女性が出てきた。髪の長い、きれいな人だ。私が目を丸くして見ていたら、おじいさんがニコニコ、いやニヤニヤして言った。「孫娘です。正真正銘の孫です。若い女を連れ込んだのじゃありませんよ」。お孫さんかあ。でも、うらやましい。
 ホームのラウンジに人形が飾ってある。かみさんが言うには、貴重で高価なものだそうだ。人形の所有者のおばあさんが、私に写真を見せてくれた。可愛い孫娘の写真だった。うらやましい。
 別のおばあさんは、私が本を書くという情報を仕入れてきた。そこで「バイオ探偵」を差し上げた。「孫娘に読ませます」とおばあさんは言った。お孫さんは理系の大学生とのこと。うらやましい。
 私には孫がいない。おしゃべりしてくれる孫娘AIロボットが、リーゾナブルな値段で売り出されたら、買おうかな。

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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