「エラスチンを食べる」からの連想で、「絹を食べる」話を思い出した。大昔、まだ「コラーゲンを食べる」ブームがおこる前の話である。
 私のところに、絹の屑の使い道の話を相談しに来た人がいた。たしか京都の人だったと思う。絹製品の製造工程で、絹の屑がたくさんできるのだそうだ。それを何か有効利用できないかという。「絹を食べると何か良い効果は期待できないか?」
 私は絹についての知識は持っていない。せいぜい、絹の主成分はフィブロインというタンパク質というくらいだ。フィブロインはタンパク質分解酵素で分解されにくい。だから、たべても消化はすごくわるそう。アミノ酸組成はというと、グリシン、アラニン、セリンが多い。これらのアミノ酸になにか効能があるかという話になった。
 「アラニンは二日酔いに効くとか・・・本当ですか?」「僕は知りません。栄養学者ではないので・・・」
 話は、そこで終わってしまった。今なら、フィブロインをなんとか限定分解し、生ずる小ペプチドの生理活性を探る・・・というような可能性を議論したろうと思う。
 絹を食べる話が、その後どうなっているのか、いまどんなことがわかっているのか・・・勉強不足で知らない。

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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