新井克彦博士、服部俊治博士が編著者の「細胞外マトリックス実験法」という本が、丸善出版から昨年末に刊行された。コラーゲンや細胞外マトリックスに関する実験法の書籍はしばらく刊行されていなかった。この間にこの分野の研究はどんどん進歩し、広がっている。そこで、この新しい本を期待を持って手に取った。
 オールドタイマーの私は、まず表紙カバーを見て、びっくり。「ラミニン511のインテグリン結合部位の立体構造」だって!ああ、こんなことまでわかってきているのだなあ。
 目次を開くと、コラーゲン、グルコサミノグリカン・プロテオグリカン、代謝酵素の分離・分析法、細胞接着機構などの章が並んでいる。それから、今度は皮膚、骨など各組織別にも分離分析が述べられている。これは目新しいまとめ方だ。
 次に海産動物のコラーゲンが独立した章としてある。これもなかなかユニークだ。将来の海産動物コラーゲン利用の重要性というか、期待の大きさを考えてのことだろう。
 最後の章は、細胞培養に関するものだ。再生医学の研究者には、重要な一章である。
 約440ページの本の中に、情報がぎっしり詰まっている。これからしばらくの間は、実験法のテキストとして、役立っていくであろう。
 足りないといえば、細胞外マトリックス成分の遺伝子解析法に関する記述はない。多分、別に企画があるのかなと、推察している。

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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