杜仲茶は、中国の四川省原産の高木、杜仲の葉を使ったお茶である。健康茶として昔から有名で、中国では3000年前から不老長寿の薬として珍重されていたそうだ。血圧降下、血行障害の改善、利尿作用、筋骨の増強などの有効とされてきた。
 昔、私は高橋周七博士の講演を聴いた。高橋博士は当時は日大薬学部の教授であった。博士は、杜仲茶がコラーゲンの合成を促進する作用があると述べられた。
 そのあと、私は個人的に高橋博士と話す機会があって、杜仲茶のコラーゲン合成促進のメカニズムについて意見を交わした。きっと、コラーゲン合成を促す成分が、杜仲茶にあるに違いない。どんな物質か突き止めたい、と意見は一致したけれど、共同研究は実現はしなかった。どんなアッセイ法を使えばよいか、悩んだせいもある。
 高橋博士は、杜仲茶のコラーゲン合成促進作用を、ウナギに応用した。養殖したウナギは天然のウナギに較べて、「かば焼き」にすると、柔らかすぎる。おいしい「かば焼き」にはある程度のかたさが必要だ。博士は、かば焼きのかたさはコラーゲンの量できまると考えた。そこで、ウナギを養殖する際に、杜仲茶を与えれば、コラーゲンが増えて、食感の良いウナギができるであろう。
 周七先生のえらいところは、そのアイディアを実行して、ウナギをつくり、「周七うなぎ」と命名して売りに出したところだ。素晴らしい実行力!
 博士とコラーゲンの話はまだまだある。