私は、山崎豊子さんのファンだ。身辺のことを書いた、ちまちました小説が多い中で、スケールの大きさ、構成力、社会性などの点で、群を抜いていると思う。
 もっとも、本当に活字の小説として読んだのは「白い巨塔」ぐらいで、あとはテレビドラマなどの映像で見た。「不毛地帯」、「沈まぬ太陽」、「女系家族」、「華麗なる一族」などなど。
 いちばん面白かったのは、もちろん「白い巨塔」だ。これは、大学の医学部のどろどろした世界を描いたものである。舞台は、ある関西の大学医学部。主人公は、野心的な外科の助教授(今でいえば准教授)。
教授が退職し、次の教授を選ぶ選挙がひかえている。主人公の嫁さんの父親は、娘婿を教授にさせようと、すごい運動をする。それに、学部長や教授たち、良心的な医学者、東京の大学のボス教授、愛人の女性などがからんで、大変なことになる。
 この本を読んだずっと後、私はある医科大学に勤務することになった。単科の大学なので、私のような人間も、医学部教授会のメンバーである。大学が発足して間もなく、教授選があった。医学に無知な私にも一票入れる権利がある。
 私は、白い巨塔のようなことがおこるのではないかと、密かに楽しみにしていた。買収に来たらどうしよう・・・
 でも、なんにもなかった。
 天の声「あたりまえだ」

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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