小麦粉の値段がどんどん上昇している。ロシアとウクライナの紛争によって、小麦粉の流通が滞ているからという。日本の小麦はロシアやウクライナからではなく、アメリカなどから輸入しているそうだが、それでも影響は避けられない。小麦に加えて、石油も供給不安定になり、輸送費が値上がりしてしまった。
 小麦粉が値上がりすれば、パン、パスタ、うどんなどの値段も上昇する。消費者は困ってしまう。
 大昔には、日本にも麦畑があった。麦踏は早春の風物詩だった。ちなみに、麦踏とは麦の伸びすぎを抑え、根張りをよくするため、麦の新芽を足で踏む作業である。畑に入って作物を踏むとふだんは怒られるが、麦踏ばかりは、畑に入って踏みつけても構わない。子供がお手伝いをしたものだ。
 いまの日本では、水田は見かけるが、麦畑は見かけない。麦をつくらなくなってしまったのだろう。
 昔、ある製粉会社を見学したことがある。案内してくださった会社の方が、「昔は製粉会社の方が製パン会社よりも威張っていた。それがいつの間にか、力関係が逆転してしまった。今では製パン会社さんの言うとおりにやっている」とボヤいていた。
 いま、勢力関係がどうなっているのか、私は知らない。しかし、今回の小麦の値上がりには、製パン会社も製粉会社も困っていると思う。外国の戦争のせいでは、どうにもできない。泣く子と地頭とプーチンには勝てない。