日本人はみんな富士山が好きである。富士山は日本で一番高い山であるし、ただ高いだけでなく、姿が際立って美しい。
 かみさんも私も、どこへ行っても、富士山が見えないか探してしまう。たとえば高いビルの屋上に登った時とか、高尾山のような山に登った時に、富士山は見えるかどうか、探してしまう。
 同じ場所でも、お天気によって、富士山が見えるかどうかがきまる。晴れて、空気が澄み渡った日には富士山がよく見える。そんな日は、何か良いことがありそうな気がする。
 私は日本中そうかなと思っていた。しかし実はそんなことはない。
 たとえば、仙台からは富士山は絶対に見えない。富士山が見える北限は、福島県にあるそうだ。だから、それより北に住む人は、旅行でもしない限り、富士山を見ることはない。
 浜松は富士山と同じ静岡県にある。しかし、私の住んでいたところからは、途中の山が邪魔をしてか、富士山を見ることができなかった。浜松の友人と話をしていても、今日富士山が見えたという話が、話題にのぼったことはなかった。
 富士市の人に聞くと、毎日、富士山はあまりにも近くに大きく見えるので、逆に関心がなくなってしまっているそうだ。
 というわけで、富士山が見えたかどうかを問題にするのは東京とその近郊の人に多いのかもしれない。
 東京とその近郊には、富士見坂とか富士見町とかいうような名前の場所がいくつもある。もっとも、高いビルが建ってしまって、今では見えなくなっているところもあるようだ。
 「ポムポム川の辺」に引っ越す前に住んでいたところからは、富士山が見えた。とくに私のお気に入りの散歩コースの川の土手からは、よく見えた。冬の晴れた日が特によく見えた。
 「ポムポム川の辺」に引っ越してからは、富士山を見たことがない。建物だらけで、遠くを見通せない。出歩るかなくなってしまったせいもある。なんだか淋しい。
 

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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