海洋冒険家の堀江謙一さんが、またまた、太平洋を横断する冒険に乗り出すそうである。83歳!私とたいして違わない。すごい。
来年の3月に、サンフランシスコから日本に向かう。3か月かかる予定。もしも成功すれば、世界最高齢の、単独・無寄港の太平洋ヨット横断になるそうだ。
堀江さんは、1962年に、日本からサンフランシスコに、小型ヨットで太平洋を横断した。パスポートなしで、つまり密航したのだ。しかし、アメリカでは、温かく迎えられたそうだ。
1962年といえば、アメリカは、政治的にも、経済的にも、気軽に行ける場所ではなかった。私が留学したのは、その1年後の1963年だが、結核国日本は、警戒されて、大きなX線の写真を、持っていかなければならなかった。お金も200ドルまでしか、持っていけない。それに、渡航費も高かった。
堀江さんは、帰国後、航海の模様を書いた「太平洋ひとりぼっち」という本を出した。それがベストセラーになった。私は、アメリカに留学中に読んだ。留学中は、日本語をしゃべる機会もなく、さびしいときもあったのだけれど、この本を読むと、救われた。そりゃ、ヨットのひとりぼっち旅の方が、ずっとさびしい。
「太平洋ひとりぼっち」は映画化され、石原裕次郎さんが主役を演じた。この映画を見たアメリカ人の評論家は、「お月様のような、まんまるの顔の青年が主演した」と論評した。日本では天下の2枚目の裕次郎さんも、アメリカ人には、太った青年にしか映らなかったようだ。
さて、堀江さんは、いま83歳。この年で、一人でヨットで太平洋を横断するなんて、私には想像もできない。その体力、気力は、ただただ感嘆するだけだ。無事に航海を終えてほしい。