大谷翔平さんの大活躍で、ニュースは連日、二刀流のオータニさんのことばかり。そこで、科学の分野でも、すごい二刀流の人がいないか考えてみた。ただし、二刀流の定義はあまり深く考えず、二つの異なる分野で優れた業績を上げた人とした。
まず、ノーベル賞を、異なる二つの分野で、受賞した人はどうだろう。
真っ先に思いつくのはキュリー夫人だ。ラジウムを発見し、分離に成功。1903年に、夫と共にノーベル物理学賞をもらい、さらに夫の死後1911年に、ノーベル化学賞をもらった。ただし、両方ともラジウム研究の結果だから、二刀流とは、言い難い。
ポーリング博士は、分子の立体構造、共鳴の理論、化学結合の本質、タンパク質の立体構造など、多彩な分野で業績を上げ、ノーベル化学賞を受賞した(1954年)。また、原水爆禁止運動などの平和運動への貢献で、ノーベル平和賞も受賞した(1962年)。ポーリング博士は二刀流だ。
サンガー博士も、ノーベル賞を2度(1958年、1980年)受賞したが、どちらも化学賞だった。最初は、タンパク質の構造決定で、2度目はDNAの構造決定だ。生化学の二大分野での功績だから、ちっぽけな生化学者の私からみると、二刀流というより、神様だ。
究極の二刀流は、ノーベル賞を受賞し、オリンピックで金メダルを獲得することだろう。そんな人がいるかどうか、私は知らない。
しかし、それに近い人は知っている。チャンス博士である。チャンス博士は生化学者だが、1952年のヘルシンキ・オリンピックのヨット競技で、金メダルをとった。生化学の分野では、酸化還元酵素の反応速度論の研究で、成果を上げた。私が若いころ、チャンス博士はとても高名だったが、彼の研究は難しくて、私にはよくわからなかった。でも、ノーベル賞に、もう一歩だったのではと思う。究極の二刀流になる「チャンス」はあったのだけれど、残念。
天の声「ダジャレを言うと思った」