老人ホーム「ポムポム川の辺」の入居者を見ていると、みんな健康に気を使っている。特に体を動かすことを心掛けている人が多い。運動が老人にも必要なことは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌で、イヤというほど、見たり聞いたりしている。一方では、大抵の老人は、体に何かトラブルをかかえているから、運動との兼ね合いが難しい。
 私は、むかしは散歩していた。しかし、この頃は足が痛くて、あまり歩けない。というより、歩くと足が痛くなるので、歩きたくない。しかし、体を動かさなければならない。それで、部屋の中で、ラジオ体操のまねごとをしている。
 まねごとというのは、私は、きちんとラジオ体操を教えてもらったことがないからだ。
 ラジオ体操は、1927年にNHKが始めたというから、ずいぶん昔からある。昭和天皇即位記念の一つだったそうである。健康増進と早起きが目的だった。戦争中は、大いに推奨されて、「非常時日本の象徴」の一つのようになった。したがって、敗戦と同時に中止されてしまった。
 ラジオ体操が復活したのは、1951年のことである。新しい形式でスタートした。そのころ私は、もう高校生だったから、みんなでラジオ体操をという年齢を過ぎていた。したがって、ラジオ体操のやり方を、きちんと教わったことがない。
 それに、号令をかけられて、みんなでやることは好きでない。だから、もしも「ポムポム川の辺」で、ラジオ体操をみんなでやるといっても、私は参加しない。でも、いま、一人で、部屋の中で、ラジオ体操のまねごとをしている。
 見よう見まねで、だいたいは出来る。体を動かす順番を、私なりに覚えている。無意識のうちに、体を動かす。次の運動はなにかと、考えながらやるとダメである。わからなくなる。不思議なものだ。
 きっと、でたらめにやっていると思う。でも、やると体にいい気がする。プラセボ効果かな。


 

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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