テレビでアニメのサザエさんを放送しているが、あまり面白くない。原作の漫画とはぜんぜん違う。
テレビのサザエさんは、いかにも教育的だ。日曜日の夕方に、お茶の間で子供たち中心にみんなで見る番組だから仕方ないと思うけれど、教育的すぎる。毒がない。カツオだけがいたずらをするだけで、ワカメちゃんはとてもいい子だし、サザエさんに至っては、教育ママみたいである。
原作の漫画では、ワカメちゃんは、やんちゃで、面白い子供である。カツオ以上に面白かった。
原作の漫画が始まったのは、戦後の混乱期だ。当時の漫画には、食糧難、配給、ヤミ米、買出し、そしてコソ泥や押し売りもしばしば登場した。
覚醒剤のヒロポンなども漫画に登場していたように思う。これは、長谷川町子さんの別の漫画(「似たもの一家」?)かも知れない。小説家の先生が使っていたように記憶している。
もちろん、それらをそのまま、いまアニメ化するのは無理なのはわかる。
私は文庫本だけれども、サザエさんを全巻揃えて持っていた。老人ホーム「ポムポム川の辺」に引っ越すときに、持っていくのをあきらめて、他の本と一緒に、古本屋さんにもっていってもらった。
古本屋のオヤジさんは、丁寧に、本を順番にならべて、ひもで縛った。そして言った。
「以前に、伺ったお宅でも、やっぱり『サザエさん』を全巻揃えていてね。」
「・・・」
「その人とっても変わっている人でしたよ。『サザエさん』を全巻揃えている人はひとくせあるね」
「・・・」
失敬なオヤジさんだった。