サクラが咲いた。春がきた。しかし、今年は「ポムポム川の辺」に入居しているので、いまいち季節感がない。24時間暖房のせいだろう。
 むかし、仙台にいたときには春の到来が待ち遠しかった。仙台の冬は寒かった。春が来ると、ウメもモモもサクラも、一斉に咲きだす。体も心もウキウキした。もっとも、それは4月になってからの話だ。
 そのころ、研究室には新しいメンバーが入ってくる。そうすると歓迎会をやる。何をやるかというと、大きな鍋を担いで、河原にいく。いわゆる芋煮会である。ふつうは芋煮会といえば秋の行事だが、大学の研究室ではちがった。
 芋煮会に季節はないのだ。春でも秋でも、なにかあると芋煮会。
 酒を飲みだすと、もうサクラの花などはどうでもよくなってしまう。
 芋煮会にはいろいろな流儀があるらしい。仙台と山形ではちがう。しかし、研究室の芋煮会は、自己流だった。肉は牛肉、イモはジャガイモが多かったかな。みそ味ではなかった。
 何度もやるので、珍事件も起こった。牛肉を持っていくのを忘れたことがあった。鍋を忘れてきたこともあった。あの時は、すごすご帰ったのかどうか、記憶にない。幹事が責められたことは確かだ。
 仙台から浜松に移った。浜松では、サクラの印象がない。サクラの木がないはずはないのだけれど、印象にない。お花見を楽しんだ記憶もない。暖かい土地で、春が来るのが待ち遠しいといった気分がなかったのかもしれない。
 東京に移ったら、いたるところにサクラがあった。大学の構内にも、もちろんたくさんあった。私の部屋の前にも立派なサクラの木があって、その下で、シーズンになると、学生さんたちが、いれかわりたちかわり、お花見の宴会をしていた。
 ああ、今年は、そんなことも出来ないだろうなあ。

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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