コラーゲンを食べると体によい効果があると、日本で最初に提唱した科学者は、私の知る限りでは高橋周七博士である。
 1990年代のはじめ頃から、コラーゲンを食べたり飲んだりすると、お肌がプルプルになる、関節の痛みが消えるなどといわれ出して、コラーゲン食品摂取が一種のブームになった。コラーゲンを食べると、体のコラーゲン不足を補うことができると、雑誌やテレビが伝えた。
 一方では、コラーゲンを食べても、特別な効果があるはずがないという人も少なくなかった。効果が体験談ばかりで科学的証拠がないこと、コラーゲンを食べても消化管内で分解されアミノ酸になるから、他のタンパク質を食べるのと変わらない、などが反対する理由である。私もそう思った。
 そのころ、私はある健康食品の業界紙から、コラーゲンについて講演を依頼された。私が「特別な効果はないと思うが、そんな話でもよいのか」と尋ねると、「それでも良い。しかしその前に文献を送るから読んでほしい」といわれて、文献が10編ほど送られてきた。その中にチェコのミラン・アダムス博士の関節炎症状の緩和の論文があった。アダムス博士の名前は、コラーゲンの専門書の編者として知っていたので、これは無視できないと思った。
 また、海外の研究者の論文にまじって、高橋周七博士の学会報告抄録も入っていた。
 コラーゲンを摂取した時になぜ効果があるのか? 効果があるとすればコラーゲンが消化管の中で分解され生じたペプチドに活性があるのではないかと私は考えた。その話を講演ですると、終わった後、女性研究者の方がわざわざ私ところに来て、「自分もそう思う」といわれた。私は意を強くした。