体の中のコラーゲンの線維は、年齢とともに変化する。よく調べてみると、その変化は複雑である。たとえば、コラーゲンの線維の引っ張り強さを調べると、若いうちに、強度が目立って増加していく。一方、コラーゲンの線維を酸に入れたときのふやけ方を調べると、これは、成長が終わったころから、目立って膨潤しなくなる。
 つまり、コラーゲンは「年をとる」、すなわち年齢と共に変化するのだが、その変化は、主に大人になる前におこる変化と、大人の後になってから主におこる変化があるらしい。
 むかし、私は、この加齢に伴うコラーゲンの変化をあらわすのに、女性の漫画を描いて、「子裸原」から「誇裸原」になり、やがて「枯裸原」になると書いた。いま思うと、セクハラかなあ。 
 この現象を説明できるのは、コラーゲンの架橋とその変化である。コラーゲンの線維は、コラーゲンの分子が規則的に集合したものだが、それだけでは、とても弱い。分子と分子の間に架橋ができて、コラーゲン線維は強くなる。架橋をつくるには酵素が必要である。ある種の植物に、この酵素の阻害剤が含まれていて、これを食べた家畜には、骨の奇形や、大動脈破裂などがおこる。
 1960年代には、架橋の研究が進み、いくつかの架橋の構造が分かった。しかしよく調べると、これらはできたてのコラーゲンにはあるが、コラーゲンの成熟とともに消失してしまう。コラーゲン線維は、その間、強度を増すのだから、架橋は別の、もっと安定な成熟架橋へ変化するのだと考えられた。
 この成熟架橋として、まず発見されたのが、ピリジノリンである。「私たちが見つけたのだ!」と、自慢したくなる。
 天の声「自慢できるのは、それしかないからね」

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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