夜中に、ジージーという音がした。ケラが鳴いているのかと思ったが,老人ホームの二階にケラがいるはずもない。耳鳴りだろう。
ケラは昆虫である。オケラという人が多いが、これは俗称。コオロギに似ているけれど、前足が大きくて、モグラのようだ。土を掘るのに適している。土中で「ジイイ」と鳴く。これを俗に「ミミズが鳴く」という。
「オケラになる」という言葉がある。財産をすって、すっからかんになってしまった時に使う言葉だ。これは、ケラを捕まえたときに見せる、前足の「お手上げ」のポーズからきた言葉だと辞書に書いてあった。
辞書を見ると、ケラもオケラも漢字で書くと、螻蛄。すごく難しい字だ。
オケラという花もあるらしい。漢字で書くと「朮」。これも見たことのない字だ。キク科の多年草で、山野に自生している。根は健胃薬。正月の屠蘇の材料にも使うそうだ。
ジージーという音のおかげで、勉強した。
天の声「閑なだけだ」