以前に住んでいた家の近くには、カラスがたくさんいた。彼らは生ごみを捨てる日には、ごみ収集場所にやってくる。ネットをかぶせて防いだが、ちょっと隙間があると、ごみ袋を引っ張り出して、食い荒らした。迷惑な存在だった。
 カラスが利口なことはよく知られている。クルミのかたい殻を割るのに、走ってくる自動車を利用したり、コインを入れて電車の切符を自動販売機で買ったりするのをテレビで見たことがある。  
 私が観察したところでは、カラスは利口なだけでなく、とても気が強い。人間を怖がらず、襲ってくることがある。家のそばの大きなけやきの木にカラスが巣をつくった。ある日、ひなが巣から落ちてしまった。親のカラスは、ひなを心配して、人が木のそばの道を通ると、威嚇しに来た。かみさんは怖がって、その道を通ることができなかった。
 タカがいると、カラスは群れをなして威嚇する。ぶつかりはしないのだけれど、タカの体すれすれまで飛んできて、脅す。タカは逃げ出した。
 ネコと1対1でけんかしているのを見たことがある。大きさは互角かな。でもカラスの方が強気で、優勢に見えた。
 川岸で、カラスがウを威嚇しているのも見たことがある。ウの方が体は大きい。カラスがそばに飛んできても、ウは平然としていて、取り合わない。まるで無関心のように見えた。ウはえらい。
 カラスよりも気の強い鳥をみたことがある。オナガである。オナガがカラスを追いかけるのを見た。カラスよりもずっと小さいのにすごい。
 韓国のソウルにいったときのこと、公園の木から、大きな鳥が飛び立った。案内してくれた韓国の大学の先生が、あれはカラスだといった。どう見ても日本のカラスとは違った。日本のカラスのように真っ黒ではなかった。なにかきれいな色の模様が見えたような気がする。
 韓国のカラスは、美しい!カラフルである!
 日本と韓国では、カラスは共通の祖先から独自の進化を遂げていって・・・・いや、あの美しい鳥は、夢か、幻だったような気もする。
 

 

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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