エラスチンはコラーゲンの兄弟のようなタンパク質である。細胞外マトリックスの構成成分で、コラーゲンと同じように多数の分子が集合して線維を形成する。その線維はゴムのように伸びちじみができる。それゆえ、弾力が必要な、皮膚、肺、靭帯、大動脈などに存在している。
 コラーゲンは、細胞表面の分子や、細胞外マトリックスの他の成分と相互作用をする。ところが、エラスチンはいわば孤独で、相互作用をする生体高分子がほとんど知られていなかった。
 それで、エラスチンと相互作用をするタンパク質を探してみようと思い立った。血液の中には、コラーゲンと結合するフィブロネクチンというタンパク質が存在する。コラーゲンの変性物であるゼラチンを結合したカラムで、容易に集めることができる。これを真似て、エラスチンカラムで、血漿からタンパク質を分離した。
 まず引っかかってきたのが、免疫タンパク質のIgMの仲間だった。この中に細胞接着性のものがあったので、私たちは細胞接着性IgMだと早合点してしまった。本当は少量のフィブロネクチンが混在していたのがわかって、恥をかいた。
 さらにしつこく調べると、分子量が3.7万ぐらいのタンパク質が見つかった。調べてみると、コラーゲンと同じような3本らせん構造を持っているのに、びっくり仰天。さらに調べると、フィコリンという既知のタンパク質であった。何故エラスチン・カラムに結合したのか、その生理的意義はなどは・・・わからない。

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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