1960年代の初め頃、インスタント・ラーメンをはじめて食べた。インスタント・ラーメンなるものが、世の中に登場してから、まだ日が浅いころだ。当時のインスタント・ラーメンは、麺に調味液をしみこませ乾燥したもので、カップではなく、袋に入っていた。
実験室には、適当な容器も、お湯もなくて、そのまま食べたこともある。味がついているから、スナック菓子のようなものだ。ビ-ルのつまみにもなった。でも、すぐに飽きてしまった。
今、老人ホームに入って、昼食にインスタント麺を食べる機会が増えた。久しぶりに食べたが、とてもおいしくなったし、多種多様になったのにびっくりしている。
まず、たいてい、プラスティックの容器に入っているから、便利である。お湯の用意をするだけで、オーケー。
麺もラーメンだけではない。「そば」も「うどん」もある。「焼きそば」もある。麺の太さもいろいろだ。
作り方もまた、いろいろだ。スープがついているのだが、粉末のものもあるし、液状のものもある。お湯をいれる前にスープを入れるのもあるし、お湯を入れた後、食べる直前に入れなさいというものもある。
お湯を入れてから待つ時間も、3分、4分、5分といろいろだ。でも、どのくらい正確に、この時間を守らなくてはいけないのかは、よくわからない。実験してみる必要がある。
ついている具は、ちょっと情けない。しかし、値段を考えると、文句も言えない。
おやつではなく、食事として食べるには、具を補充す必要がある。卵、チャーシューなど、良質のたんぱく質を入れよう。野菜も入れよう。
このごろ「老人は栄養不足に気を付けろ」とよくいわれる。栄養が不足するとフレイル、つまり虚弱の状態になる。寝たきり老人の一歩手前の状態である。こうなるのはいやだ。だから、市販のインスタント麺だけ食べていてはいけない。
「面倒くさい。そんなことをしていたら、インスタントの意味がなくなってしまう」という声が聞こえてきそうだ。それもごもっとも。