かみさんが「ぬれせんべい」を買ってきた。茨城県桜川市の菓子メーカーの製品である。袋に「焼き生せんべい」と書いてある。おそるおそる食べてみると、グニャグニャしている。でも意外においしい。
 意外にというのは、私は、せんべいは、パリパリ、カリカリしているべきと思っていたからだ。湿っていては美味しくない。だから、普通は袋に乾燥材を入れて売っている。高級品は、一枚ずつビニルで包んである。
 私は、せんべいが好きだ。それも、しょう油をつけて焼いたのが好きだ。大昔、アメリカに留学した時に、いちばん食べたくなったのは、せんべいやかきもちだった。当時のアメリカのスーパーでは、どこを探しても売っていない。似た味のものもない。クラッカーやクッキーは、たくさんの種類のものが売られているのに、醤油味のものはなかった。
 「ぬれせんべい」に話を戻すと、普通は嫌う湿気たせんべいをわざわざつくったのだから、逆転の発想の産物と言えるかもしれない。他に似た食べ物があるかなあと考えた。アイスクリームの入ったラーメンがあると聞いたことがある。冷たいアイスをわざわざ熱いラーメンに入れて・・・でも、ちょっと違うかなあ。 
 天の声「あんたは暇人だ」