「ポムポム川の辺」の朝ご飯は8時である。老人はみな早起きだから、とっくに起きている。
 だから、朝食を知らせるアナウンスが流れると、一斉に老人が食堂をめがけてやってくる。
何だかどこかで見たことのある風景だ。そうだ、テレビで見た、牧場でウシやヒツジが合図とともにぞろぞろ餌場へ歩いていく風景を思い出してしまった。
 あるおばあさんが私の目に留まった。90歳ぐらいかな。ちょっとボケているみたい。
 そのおばあさんが、朝食を運んできた若い介護士さんに言った。
「あたし、今日お財布を持ってきていないのよ。どうしましょう。」
 もちろん、ホームの食事費は1か月分まとめて請求される。その都度払うことはない。
 介護士さんはニコニコして言った。
「心配ないわよ。もういただいているから。」
「あ、そう。息子が払ってくれたのかしら。」
「ええ、そうですよ。」
 次の食事の時に、おばあさんはまた同じことを言った。違う介護士さんにである。
 その介護士さんもニコニコして言った。
「心配しなくていいですよ。後で請求が行きますから。」
「そう。そうしてください。息子が払ってくれるから。」
 私の感想。①介護士さんは皆やさしい。②おばあさんの息子は頼りになる。


 


 

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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