「憧れのハワイ航路」という歌が、戦後すぐに流行した。日本人なら、みんなハワイにあこがれた。戦争で荒廃した日本から見ると、ハワイは天国のようなところに見えた。
それから大人になって、私がアメリカにはじめて留学した時には、ハワイ経由で行った。アメリカ上陸の第一歩がハワイだった。日本人の結核が警戒されていて、胸部の大きなX線撮影フィルムを持っていかなければならなかった。
その時は、ハワイを見物することができなかったが、帰国するときに、ハワイに1週間ほど滞在して、観光をした。アメリカ本土と違って、自分と同じような顔の人がたくさんいるし、日本語もある程度通じるし、日本食も食べることができた。なんだか、ほっとした。いい気持になって、海岸で長時間遊んでいたら、ひどい日焼けになった。痛くて仕方がなかったのを覚えている。
2度目に、アメリカに留学した時は、かみさん と一緒だった。やはり、帰りにハワイに寄った。かみさんは、泳げないし、海も好きでないようだった。フラダンスは気にいったみたいだけれど。
年をとった今は、ハワイには行きたくてもいけない。ハワイより、本物の天国の方がずっと近くに感じる。
しかし、この夏は、ユーチューブで、ハワイの音楽をよく聴いている。ビリ―・ボーン楽団の演奏するハワイアン音楽、「真珠貝の歌」、「浪路はるかに」、「アロハオエ」、「サンゴ礁のかなたに」、「ブル―ハワイ」などなど。
日本で、のんびり、ハワイアンを楽しむのがいちばんだ。ウイスキーでも飲みながら聴こう。昔は「トリスを飲んでハワイに行こう」とか言って、よく飲んだなあ。
天の声「古いな」