出版社の裳華房から「酵素の科学」の重版の知らせがあった。
 この本は、「生命科学シリーズ」の1冊として出版されたもので、奥付を見ると1988年4月に第1版が出ている。そして2023年3月に第20版が発行された。
 ずいぶん昔に書いた本である。もう35年も経っている。それでも、まだ読んでくださる人がいるとはありがたいことだ。
 この35年間に酵素の科学は随分進歩、発展したに違いない。しかし、私は怠けていて、本の改定を全然していない。
 多分、この本を教科書に使っている先生は、講義の最中に「ここは古い知識だ。いまはこうだ。」「これは間違っている」などと追加や訂正をしてくださっていることだろう。著者としてはちょっと恥ずかしいが、教科書通りよりも、その方がかえって生き生きとした講義になるだろうなあ。
 大昔、私が学生の時、分析化学の講義で、先生が小さな教科書を使った。学期末の試験の時には、その本を持ってくるようにとの指示があった。そして、出た問題が、「このテキストの誤植を探しなさい」だった。
 ご本人は真面目なのだろうが、ちょっととぼけた先生だった。

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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