この間、ラジオを聞いていたら、若いころバックパッカーで、外国旅行ばかりしていたという人が出ていた。その人は、40年も前に会った外国の人と、今も交流があるという。そして「『ありがとう』と言うと、友達ができる、どんどん増える」と言った。「いい言葉ですね」と、レポーターの女性がコメントした。
 そこで、私は、50年以上も前にお世話になった、アメリカ人のご夫婦のことを思い出した。バーバラさんとルイスさんという。名字は忘れてしまった。フィラデルフィアに、4か月ばかり留学した時に、その方の3階の部屋を借りた。とても親切で、家具から台所用品まで、なにもかも、貸してくださった。
 バーバラさん、ルイスさんにはお子さんがいなかった。きっと、英語のたどたどしい私たちを、幼い子供のように思って、面倒を見てくれたのかもしれない。お二人はネコを飼っていた。シャムネコで、確か「シェンワン」という名前だった。
 かみさんはこの猫をかわいがって、日本から持ってきた、煮干しを与えた。ふだん、キャットフードしか食べないシェンワンが、煮干しをおいしそうに食べた。ネコの好みは万国共通なんだなあ。
 お世話になったお礼にと、かみさんは折り紙で折り鶴をおりだした。千羽鶴をつくるのだといった。千羽はつくれなかったけれど、100羽はつくった。帰国の時の差し上げたら、喜んでくださった。それが私たちの「ありがとう」だった。
 帰国してしばらくは、文通していたが、途絶えてしまった。もっと、文通を続けいたらよかったのにと、悔やんでいる。

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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