私の居る老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅)の部屋のドアには、小さな窓がある。一辺が7センチメートルぐらいの小窓だ。
人間は、夜寝るときに、たいてい入り口に足を向けて寝るそうだ。ドアに頭を向けて寝る人は少ないという。
私もそうだ。ドアに足を向けて寝る。そうすると、この小窓が目に入る。そこから廊下の明かりが見え、眠りの妨げになる。そこで小窓に紙を貼って、光の入ってくるのを防ごうと思った。
同じような思いの人がいるらしく、いくつかの部屋で、小窓に紙が貼ってあった。桜の花の絵が貼ってある部屋もあるし,抽象画が貼ってある部屋もある。「おーいお茶」のラベルが貼ってある部屋もあった。
私は、小窓にピリジノリンの構造式を貼った。ピリジノリンは、コラーゲンの架橋成分で、昔私が見つけたものだ。
これに気が付いた人は2人いた。「これは何か」と聞いてくれたので、喜んで説明した。その後は、誰も気づいてくれない・・・
天の声「あたりまえだ」