先日、小春日和が春ではないということを話題にしたが、同じような言葉があることに気がついた。「麦秋」である。秋という字が入っているが、秋ではない。麦を取り入れる季節、つまり初夏の頃のことをいう。
「麦秋」という映画があった。小津安二郎監督の作品で、1951年につくられ、原節子さんと笠智衆さんが主演した。あの頃の笠さんはまだ40歳代だと思うが、初老の医者の役を見事に演じていた。
小津監督の作品は今でも評価が高い。特に外国から評価されているそうだ。私も若い頃、「麦秋」をはじめ、いくつか小津さんの作品を見たが、正直あまり良さがわからなかった。年をとった今見たら、わかるかもしれない。
笠智衆さんは、「男がつらいよ」の中の御前様でもおなじみだ。「御前様のような年寄りになりたい」という人が多い。理想の老人像である。しかし、あの御前様はいまの私より若い。つまり、私は手遅れだ。
今日は、俳句の助けを借りなかった。
天の声「自慢するようなことではない」