歯医者さんには、たいていの人はお世話になる。でも、たいていの人は歯医者さんに行くのを嫌がる。因果な商売だ。
私は一昨日、歯医者さんに行ってきた。食事中に歯が欠けてしまったからだ。コロナ騒ぎで、歯医者さんに行くのはいやだったけれど、仕方がない。
歯医者さんの壁には、ポスターがいろいろ貼ってあった。歯が悪いと、体中に病気を引き起こすという。胃腸障害はもちろん、動脈など血管にも障害を引き起こす可能性がある。認知症まで、歯のせいでおこるそうだ。とくに歯周病、むかしの言葉で言えば歯槽膿漏はたいへんよろしくないらしい。歯周病菌の出す毒素が、歯から血管に入って、全身にまわり、害を与えるのだそうだ。
日本では歯医者さんとお医者さんは、はっきり区別されている。教育の場が違う。歯医者さんは歯学部で、お医者さんは医学部だ。欧米ではそんなことはないらしい。歯科は眼科や耳鼻科と同列で、医学の一つの部門という立場だと聞いたことがある。
その方が合理的な気がする。とくに歯周病などが、そんなに全身のいろいろな病気と関係があるのであれば、歯学と医学は切っても切れない関係にある。総合的に考える必要がありそうだ。
私が、初めて就職したのは、東京医科歯科大学だった。医学部の硬組織生理研究施設生化学部門というところの助手(今でいうと助教)になった。硬組織というのは、歯とか骨のことである。歯や骨の生化学といえば、カルシウム関連かコラーゲンということになってしまう。そこでコラーゲンの研究に携わることになった。
歯の異常が全身に関係するということがわかっていれば、選択できる研究分野はもっと広がっていたのに。
当時、小学年低学年だった、私の甥が言った。「イノシカ大学に行っているんだって・・・」
甥っ子は、あの年齢で、花札を知っていたのかなあ。