紅一点は、唯一異彩を放つもの、転じて、多くの男性の中にただ一人女性がいることをさす言葉である。「万緑叢中紅一点」という王安石という人の詩に基づくとされているが、その詩の存在は確かでないそうである。
多くの男性の中に女性が一人いる場合は、女性の居心地は悪くない。男どもは、みんな女性をやさしく扱う。実際、私が大学に在学していた時、学科のクラス25人のうち女性はたった一人、つまり紅一点だったが、その女性は居心地が悪くなかったようだ。
競馬の騎手やオートレースの選手は、男性が圧倒的に多い。その中に女性がいると、ファンにもマスコミにも注目される。決して損な状態ではない。
では、逆にたくさんの女性の中に男性が一人いる状態はどうか? 黒一点という言葉もあるが、これは一般的でない造語で、使うのは避けたいと辞書に書いてあった。
大昔、私は医科大学にいたとき、付属の臨床検査技師学校で化学を教えたことがある。そのとき、生徒さんは女性が二十数人に、男性がたった一人。その男性は、とても居心地が悪そうで、授業も後ろの隅の席に座って、おとなしくしていた。ちょっと気の毒だった。
しかし、私の知識は大昔のもの。いまは変わってきていると思うけれど、私は知らない。
天の声「知らないなら黙っていなさい」