いま「エルヴィス」という映画が公開中で、人気があるそうだ。若い人の中には、エルヴィス・プレスリーのことを、この映画ではじめて知ったという人もいるらしい。私たちの世代は、みんなプレスリーを知っていた。
プレスリーが亡くなってから、ずいぶん年月が経っている。しかし、今でも「プレスリーは生きている」という話が絶えないらしい。
プレスリーは、バスルームで倒れて亡くなった。心不全といわれている。しかし、解剖所見などは公開されていないという。遺体は細すぎた、本当はもっと太っていたという意見もある。墓石に刻まれた名前のスペリングが間違っている(本当は Aron なのに Aaron となっていた)などなど、謎めいたことが多いそうだ。
死んだはずのプレスリーを見かけたという話もいろいろある。しかし、プレスリーの「そっくりさん」はたくさんいたので、その人たちを見ただけかもしれない。亡くなった後にかかってきた電話の音声の録音もあるそうだ。でも、物まねかもしれない。「エルヴィスはなくなっていない」という小説を書いた人がいる。その人のところにエルヴィスから電話がかかってきた。怪談みたいだ。
この話をラジオで聞いた。アナウンサーがつけ加えた。「エルヴィスがいま生きていたとすると、87歳。この年齢なら、生きている可能性はありますね」
私ももうすぐ87歳。まだ生きているよ。