ある高名な女性バイオリニストがラジオに出演した。彼女はバイオリンを持参し、短い曲を演奏してくれた。そのバイオリンは、ストラディバリウス。借りものだそうだ。
17~18世紀に、ストラディバリというバイオリン製作者がいて、彼とその一族がつくったバイオリンが、ストラディバリウスと呼ばれている。ストラディバリウスは名器として珍重されている。つい先日も、オークションで20億円で落札というニュースがあった。
ストラディバリウスは、つくられてから300年も経っている。バイオリンは、年月を経たものほど、よいのだそうだ。甘い音が出るようになるという。木が乾燥してくるからというけれど、人工的に乾燥したのではそうはならない。長い年月の間に、木に何が起こっているのだろう。メイラード反応のような 化学変化? もしかして、生き残った酵素によく変化?
それでは、300年よりもっと年月が経つとどうなるのか? さらに甘い音が出るのか? それは、わからないそうだ。というのは、ストラディバリの師匠が、アマーティという人で、この人がバイオリンという楽器をはじめて制作した。あの形、あの構造を、アマーティが生み出した。したがって、すごく古いバイオリンは存在していないのだ。
生のバイオリン演奏も、もちろんよかったけれど、面白い話を聞かせてもらった。