今頃の季節には、五月病が話題になる。4月に新しく入った学生や会社員などに、しばしば現れる神経症的症状のことだ。新しい環境に適応できず、焦りやストレスを感じて、落ち込み、うつ状態になる。
今年は、コロナと重なって例年より深刻らしい。新入社員や新入学生だけでなく、中高年でもうつ状態になる人が多いそうだ。コロナに感染する心配もあるし、気ままに出かけられないストレスもあるし、経時的に落ち込んでいる人も多い。連休明けでプッツンと糸が切れた状態に陥る人もいる。
そういう人たちには、「がんばって」とか言ってはいけないそうだ。言いたいことに耳を傾けてあげて、医療機関に行くように勧めることだという。
大昔、浜松から東京の大学に移った時、事務局の人から大学のニュースレターになにか書くように言われた。新任教員は必ず書くことになっているのだという。そこで、私は「地方都市から東京に出てきて、五月病にならないか心配だ」と書いた。
後日、印刷物が配布されてきた。何人かの新任の職員の挨拶が載っていたのだが、見ると、みんな立派なことを書いている。いままでの経歴や、これからの抱負が述べられている。五月病になるのが心配だなんて情けないことを書いている人は、私の他にはいない。
あの時は、恥ずかしかった。