もうすぐゴールデンウィークだ。コロナ禍のもととはいえ、旅行の話を聞くことが多い。みんなが浮かれて、旅をするとまたコロナが蔓延してしまいそうで心配だけれど。
 旅の詩といえば、「千曲川旅情の歌」を思い出す。島崎藤村の名作で、教科書にも載っていた。何度も曲がつけられ、多くの歌い手に歌われてきたりして、世の中によく知られている。映画「男がつらいよ」の中にも、小諸を旅する作品があって、この詩が出てきた。たしか三田佳子さんがマドンナ役だった。
 「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ」ではじまる。声を出して読むと、とても調子がよい。
 「暮れ行けば浅間も見えず 歌哀し佐久の草笛」・・・自分も小諸を旅しているような気分になる。旅情があふれる。
 「昨日またかくてありけり 今日もまたかくてありなむ この命なにを齷齪 明日をのみ思ひわずらふ」・・・ああ、そうだよなあと思ってしまう。諸行無常だ。日本人の心にジーンと響く。
 でも、私がいちばん好きな個所は、「濁り酒濁れるを飲みて 草枕しばし慰む」のところだな。
 天の声「今回も酒を飲む話で終わりか・・・」