冬晴れで乾燥した日が続いている。こういう時はスキンケアに気を付けなければいけない。
こうみえても、私はスキンケアに少々るさい。というのは私の専門はコラーゲンであり、コラーゲンといえば、お肌の主成分でもあるし、動物の体から取り出したコラーゲンは化粧品に配合成分になる。そこで、「門前の小僧、習わぬ経を読む」のように、スキンケアにうるさくなった。
そして調子に乗って、「スキンケアの科学」という本まで書いた。30年位前のことである。
スキンケアに理窟をこねる人は少なかったようで、早速ある女子大から集中講義を頼まれた。そこで、二十歳前後のお嬢さん方相手に、3日間講義をした。
皮膚の美しさと働き、みずみずしさと表皮、シワ・タルミと真皮(ここでコラーゲンの話をたっぷりする)、シミとメラニン色素、男性ハゲと毛髪の成長などの話をした。
講義の最後の時間には、試験の代わりと称して、講義の感想を書いてもらった。
そうしたら、何人もの学生さんが、いちばん面白かった話としてあげたのは、「ハゲ」の話だった。
これには驚いた。ボーイフレンドの髪がうすくなってきたのかな、いや父親が禿げているのかな。
どうやら、20歳前後の彼女らは、スキンケアにはあまり興味がないらしいのだ。若くて、なにもしなくても、お肌はピチピチしている。お肌の心配といったら、テニスをするときの日焼けぐらいらしい。
これはおよそ30年も前の話である。今のお嬢さん方のことは知らない。
30年前に私の講義を聞いたお嬢さん方も今は中年になっている。きっとスキンケアに夢中になっていることだろう。