「人生とは待つことである」 だれが言ったのかは知らないが、こんな言葉を昔聞いたことがある。そして、ああそうだなあと思う。
この間、かみさんが腰が痛いというので、整形外科のお医者さんに連れて行った。初診は予約ができるというので、予約して出かけた。待合室は患者さんでいっぱい。
あまり待たされずに先生に診てもらった。そうしたら、まずはX線撮影ということになった。これが待たされた。撮影が終わって、結果を聞くまでに、また待たされた。何か異常が見つかって、MRI検査を受けることになった。この医院ではできないので、別の専門施設に行くことになった。
その施設は別の街にあるので、早めに出かけた。予約時間の1時間以上前に着いてしまった。それから、ずっと待合室で待っていた。MRI検査自体は20分しかかからないのだが、その前に問診や説明がある。私はじっと待っていた。文句を言うわけにはいかない。万事スケジュール通りに動いているのだ。
しかし予定外のことがあった。帰りの電車が、事故で止まってしまった。仕方なく、タクシーに乗ろうとすると、長蛇の列。また待った。くたびれ果てた。
帰宅して「人生とは待つことである」とつぶやいた。でも考えてみると、海外からの帰国者とか、新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者は、何日間もホテルや自宅から出られない。その間じっと待ってなければならない。何日間もだ。今日の私とはくらべものにならない。
人生とは待つことである。いまの私は、寿命の尽きるのを待っている。
天の声「大げさな」