ランセット誌に掲載された論文で、認知症の発症リスクを減らす生活習慣が提示された。現在、認知症予防において、もっとも注目を集めているのが、難聴、つまり聴力低下に対する対策だということである。
これまでは、認知症の専門家の間でも、難聴の対策は、それほど重視されていなかった。視力が低下すると、すぐに眼鏡などで矯正するが、聴力は、視力に較べて軽視されていた。
しかし、聴力が低下すると、人に言葉が聞き取れなくなる。したがって、会話の輪に入りにくくなってしまう。そうすると、他人との接触を避けるようになり、孤立に陥いる。それが、認知症発症のリスクになる。
人の聴力は、40代から衰えるそうである。まず高い音が聞き取れなくなる。60代になると、低い音も聞き取りにくくなり、75歳以上になると、約7割の人が、難聴になってしまう。
では、難聴にならないためにはどうすればよいか。耳を休めることだそうだ。若い人がイヤホンで大音量の音楽を聴いていたりするが、これは非常に危険な行為だという。将来が心配である。
一方では、耳を使うことも大事だそうである。たとえば、普段聞き流している音を、注意深く聞いてみる。鳥の鳴き声などを意識して聞き分けることは、よいトレーニングになるという。
耳の遠い老人も、自分の悪口だけは、よく聞きとるといわれている。悪口は、ふつう、低い声で話す。老人の聴力の衰えは、まず高音から始まるから、低音の悪口が聞こえてしまうそうだ。
そうか。老人の悪口を言うときは、甲高い声で、若い人の悪口の場合、低音でしゃべるとするか。
天の声「悪口は言うな」