私の知人は、たいてい科学者である。科学者には変人・奇人が多い。つまり、私の知人の中には、変人・奇人が多いことになる。
先輩で、すごく記憶力の良い人がいた。数字に特別強い。彼は、人の名前を覚えず、電話番号で覚えてしまう。特に、相手が若い女性の場合がそうだった。今思うと、デジタル人間の先駆けだ。
別の先輩の話だが、夏の暑いある日、「涼しくなる方法を教えてやろうか」と私にいった。「お願いします」「まず、ラーメン屋に入る。そして、熱いラーメンを食べる。それから、店の外に出ると、すごく涼しく感じるよ」「なあーんだ」 お店に冷房がなかった時代の話である。
大昔、学生さんで、「一日を25時間で暮らす」という人がいた。一日を24時間でなく、25時間で暮らすと、25日が24日になる。すなわち一日分、3食の食費が浮くというのだ。そういって、毎日、大学に来る時間を1時間ずつ遅れせていた。
私は、ごく普通の人間だが、こんなことがあった。晩酌のために、日本酒を化学実験用のビーカーにいれて、電子レンジで温めていた。ビーカーは耐熱性だし、目盛りがついているから、お酒の量を測るのに便利だ。それに、コップ代わりにそのまま飲める。しごく合理的な行動と思っていたら、息子のお嫁さんが、それを見て眼をマンマルクしていた。きっと、変わった人だと思ったに違いない。
変人は自分が変人だと気がつかない。私は、自分の行為が、ちょっと変人的だと気づいたから、変人ではない。
天の声「変人には何を言っても無駄」