先日、新型コロナウイルスのワクチンの接種を済ませた人に対して、接種済み証明書、いわゆるワクチンパスポートの発行が始まったというニュースが報じられた。紙一枚に日本語と英語で書かれたものだそうである。コメンテーターは、デジタルにすればいいのにと言っていた。
海外に行くときに、持ち歩かなければならないものが、パスポート以外に、またふえたわけだ。
私が、はじめてパスポートを持ったのは、1963年のことだから、大昔のことである。アメリカに留学するときにもらった。当時は、国立大学の教員だったので、「公用旅券」というのをもらった。
もらう手続きが、大変だったのを覚えている。多分、外務省の本庁舎まで行ったような気がする。履歴や家族構成まで、英語で書かされた。母は亡くなっていたので、dead と書いたら、 deceased に直された。これが正式な用語らしいが、こんな言葉は知らなかった。
当時のパスポートは、大きくて、ワイシャツの胸のポケットには入らないサイズだった。表紙には、日本國 公用旅券と書いてある。中を見ると、「政府の命により・・・」と書いてあった。
私は、ずっと国立大学に勤めていたが、その後ある時から、旅券は公用旅券でなくなった。なぜだが知らない。大学の教員の地位が下がったのか。でも、旅行中に、公用と一般の旅券で、なんにも扱いの違いはなかった。
定年後、比較的最近旅券をとった時には、市役所の出張所みたいなところで、簡単に手続きをすることができた。ずいぶんと便利になったものだ。でも、結構高いお金をとられた。
その時10年の期限の旅券をつくったのだけれど、期限が過ぎてしまった。もうつくることはないだろう。ちょっと寂しい。
パスポートという銘柄のスコッチ・ウイスキーがある。軽い風味の、飲みやすいウイスキーで、私は好きだ。あれを買って、旅券をつくった気分になるとするかな。
天の声「アハハ」