今の季節、スーパーには、いろいろな果物が並んでいる。サクランボ、キウイ、メロンの類、柑橘類・・・。食べてみると、どれも甘くて、おいしい。
 むかしの果物は、こんなに甘くなかった。夏ミカンなんて、ものすごく、酸っぱかった。たいていのうちの庭には、柿やイチジクの木があって、その実はあまりおいしくなかったけれど食べた。
 サザエさんの漫画には、カツオが、よその家の柿の実をねらう場面が出てくる。今は柿の実がなっていても、みんな知らん顔。誰もとらず、鳥のえさになっている。その方が風情はあるけれど。
 むかし、浜松に住んでいた時、家を建てた。かみさんの希望だった。お金はなかったが仕方ない。田舎だったので土地は安い。庭もできた。友人たちが、新築祝いをくれるというので、食い意地がはっている私は、果樹の苗木をもらうことにした。
 そうしたら、柿、桃、栗、イチジク、グミなど、たくさんの苗木が届いたので、庭に植えた。しかし、このうち、実がなったのはグミとイチジクだけで、あとの木は枯れてしまった。
 グミはたくさんなったけれど、食べてみると、渋い。すごく渋くて、とても食べられなかった。鳥がいっぱいやってきて、食べていた。鳥は渋くても、大丈夫らしい。
 イチジクは食べることができた。実は小さかったが、けっこう甘かった。
 とにかく、果樹の栽培は、簡単にはいかないことがわかった。
 浜松から東京、いや正確には埼玉に引っ越した時にも、家を建てた。かみさんの実家の庭の隅に、小さな家を建てた。
 昔、ある友人が、「家を建てるのは、妻のためだ。妻は一生に一度でいいから、自分で設計した家を建てたいと言うのだ」といっていた。
 うちのかみさんは、2度も自分の設計した家を建てたことになるから、幸せなはずだ。しかし、そんなことは言ったことがない。きっと、「お金がなくて、好きなように設計ができない。これじゃあ幸せに程遠い」と思っている。
 
 

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です