この頃 SDGsという言葉をよく聞く。Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標のことだそうだ。国連がきめた。
私は、SDGsを見たり聞いたりするたびに、別の言葉、RGDを連想してしまう。
RGDはアルギニン―グリシン―アスパラギン酸というアミノ酸配列をあらわしている。この配列は、細胞接着活性配列である。
普通の細胞は足場に接着して生きている。足場になるのが細胞接着タンパク質だ。フィブロネクチン、コラーゲンなど沢山の細胞接着タンパク質が知られている。それらには共通してRGD という配列がある。一方細胞の表面には、この配列を認識するインテグリンというタンパク質がある。
大昔、多分1980年代に、このようなことが解明されて、すごく話題になった。がんの転移には細胞接着が関与する。GRGDSという短いペプチドを化学合成して実験してみると、がん細胞の接着を競争的に阻害する。これをうまく使うと、ガンの転移を防げる可能性がある。ガンは転移さえ防げれば怖くない病気だというので、大勢の研究者が飛びついた。
実際はそんなに甘くなくて、合成したGRGDSを投与しても、すぐに代謝されてしまい、効果が出なかったようだ。でも、あの当時、研究にすごい熱気を感じた。
SDGsから、RGDを連想して脱線してしまった。これって私が学問に熱心だからかなあ。
天の声「単なる勘違いだ」