かみさんの母親は、102歳まで生きた。90歳代後半になっても、元気で、毎日出歩いていた。しかし、96か97歳の時、大腿骨を骨折してしまった。スーパーマーケットで、人とぶつかって、転んでしまったのだ。骨がもろくなっていたのだろう。それから、寝たきりになってしまった。
転んで、骨折して、寝たきりになってしまう老人がとても多いそうである。
歳をとると、誰でも、骨がスカスカになり、もろくなる。特に女性は、ホルモンの関係で、閉経後、顕著に骨量が減少する。それが、病的になると、骨粗しょう症という病名がつく。骨粗しょう症とは難しい名前だ。本当はもっと難しい漢字を使って、「骨粗鬆症」と書く。
骨の主な成分は、リン酸とカルシウムの化合物、それにコラーゲンだ。骨は見かけによらず、ダイナミックな臓器で、絶えず、つくられる一方でこわされている。合成と分解のバランスがとれていれば、骨量は変わらない。
骨粗しょう症では、骨の分解が合成を上回っている。それを防ぐには、合成を促進するか、分解を抑制するかである。
骨粗しょう症の予防の鍵となるのは、カルシウムだといわれてきた。カルシウムは、体にとって大事なものなので、もしもカルシウムが不足すると、骨を分解して、カルシウムをとりだして使う。
それで、骨粗しょう症の予防にはカルシウムを摂りなさいと、ずっといわれてきた。
ところが、昔、共同研究をしたH先生は、内科の先生だが、カルシウムよりもタンパク質を十分摂ることが大事だと提唱した。牛乳が、骨粗しょう症の予防に有効なのは知られていたが、それはカルシウムではなく、タンパク質が摂れるからだと先生は言った。
その後に、共同研究をしたI先生も、内科の先生だが、コラーゲンを摂取すると、骨量が増えること報告した。自分の患者さんで試験したのだが、残念ながら、二重盲検試験ではなかった。
専門家でない私が言うのもなんだが、骨粗しょう症の予防の標語は「転ばぬ先のカルシウム and/or タンパク質、特にコラーゲン」
天の声「歯切れが悪い、へたくそな標語だな」