「もし、私が神だったら、私は青春を人生の終わりに置いただろう」
これは、アナトール・フランスの言葉だそうだ。哲学的な言葉の意味を考えることは、私は不得意なのだけれど、今日はちょっと挑戦してみたい。多分、トンチンカンなことを言うと思うけれど、許してほしい。
アナトール・フランスは、フランスの作家で、1921年にノーベル文学賞を受賞している。80歳まで生きたので、まあ長生きした人だ。
青春は麗しく、老年は醜いとだれもが思っている。青年期と老年期を入れ替えて、「青春を人生の最後に」という気持ちはわからなくもない。ちょうど、ご飯を食べるときに、好きなおかずを最後まで残しておく人がいるが、それと同じことかなと思う。つらい老年期を先に終えて、その後に美しい青春期を迎えて、死ぬ。
しかし、昔、よい治療法がなくて若くして結核で亡くなった人や、戦時中に学徒動員で戦地に行って亡くなった人のことを思い出してしまう。もっと生きたかったに違いない。キラキラ輝ける時期に死ぬのは、無念なことだ。
やっぱり、年をとって、体も頭も不自由になり、「もう死んでもいいや」と思って死ぬのがいいと、私は思うのである。
あるいは、アナトール・フランスの言葉は、「老年は要らない」といっているのかなと思う。青春期が終わると、すぐに死ぬのがよいということである。ちょうど、蝶のように。長い幼虫とさなぎの期間を経て、美しい蝶になると、すぐに死んでしまう。
繁殖行動が終わると、すぐに寿命が尽きて死んでしまう生物はたくさんいる。いや、それが生物の本質であって、繁殖期を過ぎた後も長く生きるヒトは、とても例外的な生物である。
そう考えると、アナトール・フランスは、進化の過程を経て誕生した、人間という生き物を否定してしまうことになる。
やっぱり、よくわからない。
天の声「あんたには無理だな」