老若男女という熟語がある。年齢、性別にかかわらない、あらゆる人を指す言葉だが、「ろうにゃくにゃんにょ」と読む。すごく発音しにくい。ふにゃふにゃ、ねちゃねちゃな感じがして、気持ち悪い。なぜ「ろうじゃくだんじょ」と読んではいけないのだろう。
疾病という熟語がある。病気のことだ。恥ずかしいことに、かなり最近まで、私は「しつびょう」と思っていた。病を「ぺい」なんて読めない。漢和辞典を引くと、病は「へい」とよむと書いてある。それなら「ぺい」もなんとなく納得できた。
更迭という熟語がある。「こうてつ」と読む。地位や役職にある人をいれかえること、クビにすることだが、私は「こうそう」だと思っていた。更迭を更送と見誤っていたのだ。「迭」という字は、めったに使わない字だ。
措置という熟語がある。「そち」と読む。処置と似た意味の言葉だ。私は「さくち」と読むのだと思っていた。錯塩とか、酢酸の昔の字の連想で、「さく」と読みたくなってしまう。
忖度は、「そんたく」。安倍政権時代に、流行った言葉だ。他人の心を推しはかるという意味の言葉である。これは、つい「すんたく」と読みたくなる。
侍史、「じし」という熟語も、間違っておぼえていた。手紙の脇付けにつかう言葉だが、待史、「たいし」と思っていたのだ。
そのほか、まだまだある。日本語はむずかしい。
言葉を正しく読み、書き、使うことが教養である。私はだめだ。