ラジオで誰かが、子供と釣り堀に行った話をしていた。子供に釣りを教えるのは難しいとその人は言った。ルアー釣りの場所だったそうだが、時間の大半は、絡まった糸の処理についやしたそうだ。一方では、子供の方がたくさん釣りあげて、大人はさっぱりという日もあるといっていた。
昔、浜松にいたとき、宿舎の隣の部屋に釣りの大好きな先生が住んでいて、何度も連れて行ってもらった。その先生は、釣り堀での魚釣りを軽蔑していた。
ある夏、長野県の某避暑地にあるその先生の別荘に招かれた。別荘のそばに川が流れていて、上流には、マスの養殖場があり、釣り堀も経営していた。先生はニコニコ、いやニヤニヤして言った。「明日の朝早く、この川で釣りをしましょう。養殖場から逃げてきたマスが釣れるはずです。」
次の日の朝、本当にマスが何匹も釣れた。
その先生には、アマゴやイワナを釣りに、山奥の渓流に何度も連れて行ってもらった。野生のアマゴやイワナは警戒心が強く、なかなか釣れない。しかし、釣れなくても、きれいな自然の中で過ごすことができて、気分がよかった。釣りから帰って飲むビールは最高。
ああ、楽しかったなあ。