私たちの入居した「ポムポム川の辺」は出来たばかりである。すべてが新しくて気持ちがよい。
エレベーター、廊下、部屋の入口、トイレなどが大きくつくられている。多分、車いすが通りやすくしてあるのだろう。
部屋に入ると壁にいろいろなものが付いている。まず緊急時の呼び出しボタン。電灯のスイッチ。そこまではわかるのだが、リモコンが二つ、はりついている。ひとつはエアコン。廊下など共同の場所は暖房がすごく効いているのだけれど、各部屋は好みの温度に設定しなさいということらしい。
もう一つのリモコンは最初は何のためかわからなかった。息子のお嫁さんがこれは照明の明るさを変えるためだと教えてくれた。天井の照明の明るさを自由に変えられるらしい。
洗面所は自動水栓というのか、手をかざすとお湯か水が出るようになっている。へえー。
大昔(50年か60年も前のことだが)、アメリカに留学して、いろいろびっくりした時のことを思い出した。あの頃、日本は貧乏で、アメリカの家の大きさ、豊かさ、新しさにはびっくりした。いま、旧式の我が家から現代的な設備のあるホームの部屋に入って、我が家の古さを改めて感じた。
もちろん、かみさんはこういう新しい設備や機械が苦手である。だからよせばいいと思うのだけれど、なんでも触ってしまう。おかげで、ある日、照明がひどく暗くなっていたり、暖房が除湿になって寒かったりした。やれやれ。
「老人ホームというところは、老人向きでないわね。」というのがかみさんの感想である。