息子から連絡が来た。私たちのおおよその身長と体重を知らせろというのだ。「ポムポム川の辺」の事務室からの求めだという。
 「へえ、何のためだろう」「知らないよ」
 そこで私は考えた。
 この頃、老化の進行状態を表す言葉として、サルコペニアとかフレイルという言葉が使われるようになってきたらしい。
 サルコペニアは筋肉が減ったり、歩く速さが低下するなど、身体機能の低下を表す言葉だそうだ。一方、フレイルは身体機能の低下に加えて、臓器機能や認知機能も低下した状態を指していて、介護の必要な一歩手前というか、健康障害を起こしやすい状態をいう言葉だという。
 そして、フレイルの危険因子として、「やせ」があるそうだ。「やせ」が危険というのは日本人に特有のことらしい。欧米人は「やせ」が少ない。彼らには「でぶ」が危険因子なんじゃないかな。
 とにかく日本ではちょっと小太りの人が元気で長生きするそうである。
ちなみに、残念ながら、かみさんも私も「やせ」だ。
 そこで私は考えた。わが老人ホームでも、フレイルのことを考えて、「やせ」の調査に乗り出したのかもしれない。
 息子に言うと、即座に
 「そんなんじゃないだろう。多分、行方不明になった時、探すための資料だよ。」
 「えーっ」
 「ほら、よくアナウンスしているじゃないの。”老人が行方不明になりました。身長は165センチぐらい。やせ型。服装は・・・・・”てね。」
 「うん、そう、そうかもしれないね。」

投稿者

コラーゲン博士

85歳の老人ホーム入居者 若いころは大学でコラーゲンの研究を行っていた

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